塙町立はなわこども園

町は、「木の町はなわ」を象徴する施設として、地場木材産業と地元職人の技術を結集し、ローコストながら他の町では実現し得ない「材木」をふんだんに使用し、「木の香り」「木のぬくもり」「木の感触」、施設を利用する子供たちの五感に触れるような園舎をテーマとした。
内部空間の天井高は4mと高く、八溝山系で採れた良質のスギ材と一部ヒノキ材で内装が木質化され、主架構が鉄骨造であるにも関わらず、木材使用量は外部ウッドデッキを含め120m以上を使用している。特に床材は厚さ80mm×幅110mm×長さ3mの良質のスギ厚板が地場より供給され、施工者の高い技術と施工精度により、塙町以外では実現不可能と言って良いほど見事な木質空間が作り出されている。今後の建物維持保全においては、地場の木材産業と職人が基盤にあり、きめ細かいメンテナンスが期待される環境にある。本来あるべき地域循環型の建築を具現化することは、我が国の建築産業の状況を鑑みれば極めて困難で有る。「木の町はなわ」を象徴する施設づくりのテーマは、塙町民にとっても大きな挑戦であり、地域づくりへの熱いメッセージでもある。

  • 所在地  福島県東白川郡塙町
  • 構造   鉄骨造 地上1階
  • 延床面積 3,130㎡
  • 竣工   令和2年
  • 第37回福島県建築文化賞優秀賞